WHAT'S UPS 卒業生情報

ハリウッド映画出演の卒業生もいれば、全国ネットTVで放映された人もいる。俳優の道ではなく、歌手、ダンサー、脚本家、演出家、プロデューサーなど別の道で創造的に生きる人もいる。

卒業生・在校生の声

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野村絵梨さん夜間3ヶ月ベーシックエクササイズクラス受講生

演技のためのワークショップに勇気を出して通って下さった野村さん。通うことになったきっかけとクラスの印象、そして受講後の変化について聞いてみました。

アカデミ今日はよろしくお願いします。

野村絵梨さんよろしくお願いします。

アカデミ普段は何をされていらっしゃるのでしょうか?

野村絵梨さん今は大学院で彫刻を専攻し、作品制作をしています。

アカデミとすると将来は、

野村絵梨さん今は彫刻と絵画を中心に制作しているので、彫刻をベースにした作家活動をしていく予定です。

アカデミなるほど。いわゆる芸術家としてモノづくりをされていくという目標の中で、どうして演技のワークショップに興味をもたれたのでしょうか?

野村絵梨さん作品のテーマが身体感覚(体の感覚)をもとにしていて、しかし東京ではその感覚は普段の生活では感じることが少なく、感じなくても生きていけてしまうし、どんどん鈍っていくと思うんです。これではだめだと思い、何か感覚を研ぎ澄ます方法はないかと考えていた時に、身体表現もアリなのかなと思って、でも私はものすごく苦手で、身体表現とかが。自分の体で表現するということがとにかく一番嫌で、一番苦手なので、例えば自分を被写体にしている人とか、自分をモデルにしている人とか、コンテンポラリーダンスをしている人とかは、本当に凄いな、絶対私にはできないってあこがれの眼差しで見ていたんです。

アカデミそれで演技の、というより身体表現のワークショップを探したんですね?

野村絵梨さんそうではないんです。これがたまたまでして。そんなことを考えているときに自動車の免許を取りに新潟に行ったんです。

アカデミ合宿免許ですね

野村絵梨さんはい。そこで出会った人がアップスアカデミーに通っていた人だったんです。その人はすでに俳優は辞めていて違う仕事をしているんですけど、その話をしたら、美術をやっているということと、私が身体表現に興味があることに、本当に熱心に応えてくれて「それならねぇアップスっていうところがいいですよ」と教えてくれて。

アカデミえええええ、恐縮です

野村絵梨さんはい、それで、どんなところなの?といった感じで、ちょうど知りたい情報が来たという感じでたまたま。

アカデミ神の声が・・・・

野村絵梨さんはい。たまたま知った感じです。

アカデミ合宿免許で・・・

野村絵梨さんはい。その人が教えてくれて。もともとリエナさんに習っていた人で、リエナさんが教えている学校が他にあって、そこで教わっていたそうなんですが、リエナさんがとっても良かったのでアップスのワークショップにも行ったと。それがやっぱり本当に勉強になったから野村さんも行ってみるといいよって勧めてくれたんです。

アカデミではその時レッスンの内容も教えて頂いて

野村絵梨さんはい。アニマルエクササイズやレペティション、リラックスなど、こんなことやるんだよって。

アカデミかなり具体的に教えてくれたんですね。それを聞いてどんな印象でしたか?

野村絵梨さんなんだそれは!?と思いました。別に演技する人になりたいわけじゃないけどいいのかな?と。

アカデミ具体的だとひるみますよね。

野村絵梨さんでもそういったら結構アップスはそういったところも重視してくれて、アーティストになりたいとか美術やりたいとか、音楽やりたいとかという別の目的がある人のことも受け入れてくれるって。ハリウッドのやり方を教えているところだからって教えてくれたので、じゃあ、勇気を出してちょっとワークショップだけでも行ってみようかなって。その人が教えてくれたのがきっかけで。

アカデミそうだったんですね。

野村絵梨さんありがとうって感じですね。 その方がいなかったら。知らなかったです。

アカデミ「演技のワークショップ」の内容を聞いたときに、いろいろな説明を受けながらも、どんなものなんだろうって想像はされましたか?

野村絵梨さんしましたね。私セリフとか言えないなと思って。だって学芸会以来、一度も演技なんてしたことないし。

アカデミそうですよね。普通は発声練習とか活舌のための早口言葉、柔軟体操なんかをやるんだと思うんですが、実際のクラスの内容はどのような

野村絵梨さん私はベーシック(エクササイズクラス)だったんですが、印象に残ったものはリラクゼーション、レペティション、そして短いシーンでした。他にもやったと思うんですが・・・。

アカデミ想像していたものと・・・

野村絵梨さん全然違いましたし、実は最初行くのがイヤで、

アカデミ人前で演技となると・・・

野村絵梨さん怖いですし、1回行ってみて、やっぱり無理だと思って、2回ぐらい休んじゃったんですよ。どっかで、あ、やっぱり無理だ・・・って。私には自分の体で表現することはできないって思って。

アカデミ緊張もしますもんね

野村絵梨さん緊張するし、レペティションがすごいイヤで、1対1で人と向き合うことが・・・ 人と話すときに普通はマイナスのことって言わないじゃないですか・・・ あと、怒るシーンをやったんです。確か・・・相手を立たせるというシーンだったんですけど、相手に怒りの感情を向けなきゃいけないというのがすごくイヤで、向けられるのもイヤで、なんでこんな・・・・イヤだ!って。やりたくない!って。 でも演技だから次の瞬間ケロッとしてるのはわかるけど・・・なんでこんなことやらなきゃいけないんだろうと・・・・ その時にペアになった方がそれまでにも受講していた人で、私がこれがわからないんだけど・・・っていったらすごく熱心におしえてくれて、なんてすごい人なんだろうって。 その、人に負の感情を向けなきゃいけないというのがすごいつらくて、嫌だって思いました。でもイヤだって思ったけど、お金払ってしまったし、やっぱり行こうって。

アカデミ乗り越えたんですね

野村絵梨さん乗り越えました~。

アカデミ大丈夫だったんですか?

野村絵梨さんあ、後半になるにつれて慣れてきて、楽しくなってきました。 というかとても勉強になるなって。      



沁み込む身体 2017 大理石 Photo by Tatsuhide Tanaka

アカデミどんなところが勉強になりましたか?

野村絵梨さんそうですね、演技する前の体づくりとして子供の素直な感覚になることが大事だということを講師の先生によく言われたのですが、これは制作にも活かせていけそうだなと思いました。状況を作る時(シャワーや陽を浴びている感覚を感じるなど)はごっこ遊びの延長、レペテーションは子供同士のコミュニケーションの延長、など、、、 大人でありながら子供の感覚を持っておくというのは演技だけでなく作品を作る上でも自分にとっては必要な感覚なのですが、固まってしまいがちな考え方や身体を柔軟にさせる経験は新鮮で、子供の感覚を取り戻すきっかけになりそうだなと思いました。 また、インプットとアウトプットが、全部、同じ芸術の分野なんで共通していると思うんですけど、彫刻の場合は、インプットする作業とそれに対するアウトプットがすごく遅くて、相手も木とか石なので。私がこうやったとしても、形として返ってきたり、作品として返ってくるのはずっと後なんです。でも、演技の場合は人だし、常に動いているから、インプットとアウトプットがすごく早い。常に動いていかなきゃいけない。速度がものすごく速いということに驚いて、でも演技の中で得られる感覚が、全部彫刻にも共通してるんだなって思って。というか変換できるんだなって。

アカデミ創作活動にも重なるんですね。実際にはどのような練習が・・・

野村絵梨さん言葉に表すのが難しいんですけど・・・ レペティションがすごく気になってて、クラスの中では人と人だったんですけど、例えば、人に近い例でいうと、このあいだ田中泯さんの踊りを見に行ったんですけど、自然の場所で結構やられるじゃないですか、自分と自然の場所との対話というか、地球との対話みたいなのがすごく目に見えて。その場と自分との関係を感じながら、というか関係しながら踊ってるんだなっていうのがわかって、これもレペティションなんじゃないかなって。

アカデミなるほど、それが野村さんの場合だと

野村絵梨さんで、私は彫刻やってるじゃないですか、石とか木とかを彫ってて、たまに絵も描く。例えば彫刻では素材との対話って言うことがあるんです。素材にしっかり向かうということを。それとすごく近いかなと思って。例えば、木を彫っている、石を彫っているときに石から受ける、うーん、石ってこういう特性があって、あ、こんな表情があって、こんなことを感じさせてくれるんだなぁと。やっぱり素材との対話というのは、すごく広い意味で言えば、石と私のレペティションなのかなぁっていうふうに思って、そこがつながっていけたのがすごく、一番良かったかなって思いますね。それが人になっただけの話で。だから、なんかこれは活かせそうだなって思いました。

アカデミなるほど。では受講してみて意外だった点というのはありますか?

野村絵梨さん意外だったのは、別にうまく演技しなくていいんだって。そうですね。自然な、あふれ出るような演技が重要とされるじゃないですか?

アカデミはい。

野村絵梨さんあ~それでいいんだ。自然な、自然体でいいんだったら私にもできるかなって思って。それが意外でした。

アカデミ一番楽しかったことって覚えていますか?

野村絵梨さん毎回楽しかったんですけど、(オープンダイアローグの練習の際に)5W(who, where, when, what, why)を決めるじゃないですか?ペアで。その設定を詰めるのが楽しかったです。それと楽しいというより、嬉しいと思ったのは、プレゼントのシーンで私があげる側だったんですけど、その方がバレエをやっていて、バレエをやっているその方の顔を描いた絵をプレゼントしたら、演技とかじゃなくて、普通にすごく喜んでくれたっていうのがとても嬉しかったです。その時は突然素に戻っている感じがして、あ、嬉しかったんだな~って

アカデミそうだったんですね。絵をもらえた方がうらやましいです。 では最後に、受講前とあとで変化はありましたか?

野村絵梨さん作品に現れているかと言われるとまだ現れてないですけど・・・、例えば、自分の体の力の入りやすい部分が意識できるようになって。私は手が硬くて、常にこう、強張っていることが多くて。レペティションのときとかも。普段気づくと常に手にチカラが入っているっていうのに気がつきました。ハハハ。

アカデミそれは言われないとなかなか

野村絵梨さんわからないですよね。やっぱり手って一番使うじゃないですか?ものを創るのでも。で、あと手が良く動くんですよね。強張っている時も多いんですけど、なんか私の感情に合わせて動くんですよ。なんかうれしい時は結構こうやって動いてたりとか、なんかおしゃべりな・・・手がおしゃべりだということに気づいて

アカデミへー。面白いですね。そのような自分に対する発見やレペティション、素材と自分の対話が生きてきて、何かその先にあるものというか、あのクラスのなかで起きたことというのが、それってやはり次の野村さんのステップの中に入っていく

野村絵梨さん入っていくと思います。もちろん。はい。あとは、その、結構あそこで知り合った人たちには結構濃い人たちがいっぱいいたので。

アカデミそうおっしゃらないでくださいよ

野村絵梨さんイヤ、結構いい、みなさんいい顔してらっしゃるので。普通に美大だけで生活していたら会えないような人たちに会えてなんかすごく良かったですね。

アカデミそうでしたか。作家活動、是非頑張ってくださいね。 色々教えて頂いてありがとうございました!

野村絵梨さん有難うございました。